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熱海 — 花火は20時20分に上がる

English 14 件の出典

この町を選ぶ理由

熱海の海上花火大会は、年に何度も開かれる。公表された年度の日程では、打ち上げは20時20分から20時40分(7月と8月は20時15分から)だった(C035)。

東京駅から新幹線こだま号で約45分(C017)。行くだけなら日帰りで足りる距離である。だが花火が終わるのは20時40分だ。この町の一番わかりやすい見どころは、日帰りの時間割に収まらない。

打ち上げ会場は熱海湾で、その湾を市街地がアルプススタンドのように取り囲む地形になっている(C034)。観客席が先にあって、そこに町が建っているような構造だ。

熱海温泉ホテル旅館協同組合の宿検索には、「花火大会観覧」というテーマ区分がある(C043)。宿を探す軸として、花火が最初から組み込まれている。町の側が、これは泊まって見るものだと考えている。

誰に向いているか

  • 東京に滞在していて、移動に半日を使わずに温泉地へ行きたい人
  • 温泉・海・神社・美術館・季節の花を、ひとつの町のなかで歩いて回りたい人
  • 日帰りと1泊のどちらにするかを、自分で選びたい人

熱海の源泉は500を超える(C007)。泉質は塩化物泉・硫酸塩泉・単純泉(C004)。平均温度は約63度で、約9割が42度以上の高温泉である(C005)。

総湧出量については、熱海市公式のページに毎分約20,000リットルに迫るとする記載と、毎分17,085リットル(平成23年2月)とする記載の両方がある(C006)。数字が割れているので、ここでは片方を選ばずに併記しておく。

市内でも地区で差がある。網代温泉は平均約78度・毎分約207リットル、伊豆山温泉(走り湯)は約70度・毎分約180リットル(C010)。

歴史は古い。熱海市公式によれば、天平勝宝元年(749年)に箱根権現の万巻上人が温泉を熱海中腹に導き、湯前神社を守護神として創建したとされる(C003)。慶長9年(1604年)には徳川家康が二人の息子を連れて湯治に訪れ、その後は江戸城へ温泉を運ばせた(C008)。明治18年(1885年)には「噏滊舘(きゅうきかん)」が設立され、市公式はこれを日本初の温泉保養センターとしている(C009)。

平成9年(1997年)、市制60周年事業として「熱海七湯」が再整備された(C011)。そのうち小沢の湯では、今も温泉の熱で温泉ゆで卵が作れる(C013)。大湯間歇泉は、かつて世界の三大間歇泉の一つに数えられたが、関東大震災後に衰え、昭和37年(1962年)に人工的な間歇泉として再整備されている(C012)。

湯以外が近い

熱海が「温泉だけの町」にならないのは、別種の資産が徒歩と短いバスの範囲に重なっているからだ。

起雲閣 — 1919年(大正8年)に別荘として築かれ、「熱海の三大別荘」の一つと賞賛された(C026)。1947年(昭和22年)に旅館となり、山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰治らに愛された(C027)。2000年(平成12年)からは熱海市の所有となり、「文化と観光の拠点」として一般公開されている(C028)。別荘 → 旅館 → 公開施設という三段の履歴が、そのまま建物に残っている。

來宮神社 — 大楠は幹の太さ24メートル、樹齢二千百年を超えるとされ、国の天然記念物に指定されている(C029)。来福・縁起の神として古くから信仰され、例大祭は毎年7月14日から16日(C030)。JR熱海駅からバスで約15分、「来の宮神社前」下車(C023)。

熱海銀座商店街 — JR熱海駅から徒歩約20分(C025)。軒先に干物が吊るされ、昭和のままの姿で営業を続ける喫茶店がある(C036)。近年はカフェやスイーツ店、ゲストハウスが開業してリノベーションが進む(C037)。商店街入口の交差点角に建つ熱海商工会議所は、1975年まで銀行だった建物を使っている(C038)。

季節

熱海梅園は明治19年(1886年)の開園で、60品種469本の梅がある(C031)。第一号の梅は毎年11月中旬から12月上旬に咲く(C032)。梅が冬の前に咲き始める一方で、熱海市公式は同じ園の紅葉を「日本一の遅い紅葉」として紹介している(C033)。ひとつの園のなかで、秋の終わりと冬の始まりが重なる。JR熱海駅からバスで約15分「梅園」下車徒歩約2分、またはJR伊東線の来宮駅から徒歩約10分(C024)。

泊まるか、帰るか

宿泊側の設計を見ると、熱海が滞在地として何を用意しているかがわかる。

組合公式の宿検索には60軒が登録され、日付から・条件から・地図から探す3方式がある(C041)。温泉の条件は露天風呂付き客室、貸切風呂、自家源泉、温泉かけ流し、サウナ、24時間入浴(C042)。食事は懐石料理、部屋食、夕食バイキング(C045)。テーマには海景観、花火大会観覧、サンビーチ近接(C043)。さらに一人宿泊、素泊まり、ペット対応、送迎、バリアフリー対応、Wi-Fi完備という条件もある(C044)。

団体向けの温泉旅館だけの町ではない、ということがこの検索軸から読める。

宿泊案内を運営しているのは熱海温泉ホテル旅館協同組合で、60以上の宿泊施設が加入している(C014)。組合のサイトは静岡県知事登録旅行業(第3-476号)として運営されている(C015)。熱海市公式の温泉ページは「熱海の温泉」「日帰り入浴施設」「熱海七湯めぐり」の三本立てで、宿泊はこの組合サイトへ案内している(C016)。

手を動かす

熱海魚市場では、普段は買受人以外が入れないセリの見学ができる。老舗干物店「釜鶴」ではひもの造り体験があり、いずれも予約制(C039)。ひもの造りは開き・洗い・塩漬けまでを自分で行い、洗浄と乾燥は釜鶴が引き取る。所要はおよそ3時間で、小学生でも体験できる(C040)。

行き方

  • 東京駅から東海道新幹線こだま号で約45分、東海道本線・特急踊り子号で約1時間20分(C017)
  • 熱海温泉ホテル旅館協同組合の案内では、東京駅からひかり号で約35分、こだま号で約50分(C018)
  • 新大阪駅から東海道新幹線こだま号で約3時間(C019)
  • 車:東京方面から東名高速道路・厚木ICを経由し約1時間(60km)。小田原厚木道路、西湘バイパス石橋IC、真鶴道路、熱海ビーチライン経由(C020)
  • 車:大阪方面から東名沼津IC または新東名長泉沼津ICから約45分(30km)。伊豆縦貫道・大場函南IC、県道11号(熱函道路)経由(C021)

組合公式のアクセス案内には、国道135号での追突事故が多発しているとの注意記載がある(C022)。

数字の扱いについて

この稿には、出典どうしが食い違っている箇所が2つある。ひとつは総湧出量(C006)、もうひとつは東京駅からの所要時間で、市公式はこだま約45分、組合公式はこだま約50分・ひかり約35分としている(C017、C018)。どちらも片方に寄せず、両方を残した。

注意・未確認事項

  • 花火大会の打ち上げ時間・日程、梅まつりの会期は年度により変わる。 本稿の時刻は公表された年度のものであり、訪問前に必ず公式で再確認すること。花火大会の開始年と年間開催回数は、参照した市公式ページ本文に記載がなく未取得
  • 起雲閣・熱海梅園の開館時間と観覧料、日帰り入浴施設の個別名称・料金は未取得。
  • 宿別の客室数・料金帯・外国語対応・キャッシュレス対応は未収集。 本稿では個別の宿名を挙げていない。
  • 総湧出量の確定値は未特定(出典間で不一致)。源泉の稼働/休止の内訳も未確認。
  • 大楠の樹齢は出典の「とされる」表現に合わせている。國の天然記念物指定については、文化庁での一次確認は未実施。
  • 熱海市の人口は2026年7月末現在で32,553人、世帯数20,838(C001)。面積等その他の基礎統計は未取得。

比較の軸として

同じ伊豆・東京圏の温泉地と並べると、熱海の位置づけがはっきりする。

  • 伊東:宿が伊東温泉街・伊豆高原・城ヶ崎温泉の3エリアに分かれ、温泉と海の眺望が並列の選択軸になる
  • 下田:熱海から在来線でさらに約1時間30分。1泊前提で、宿の場所(駅前・海岸・山間)で滞在が変わる
  • みなかみ:同じ関東圏の温泉地だが、川と季節が軸

熱海は、この中で最も東京に近く、最も「日帰りと宿泊の境界」がはっきりしない。その境界を決めているのが、20時20分の花火である。

出典

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